あたしは必死に顔を背けて、蓮見の脇をすり抜けようとするけど、蓮見は通せんぼするように身体を動かした。





そしてやっぱり、観察でもするようにあたしの顔を覗きこんでくる。




いつもきれいに整えられている蓮見の髪がぼさぼさに下りていて、その目を半分覆い隠していた。






「な、なんなの、蓮見………」





「お前って、意外と………」






――――ちょっとちょっと!?


顔、近いってば!!






水に濡れて、透明な雫を含んだ、黒く艶やかな前髪の間から。



きれいな切れ長の瞳が、じっとあたしを見つめている。






通った細い鼻筋、薄く形の整った唇。





――――この唇が、さっきあたしの首筋に当てられたんだ。





そう考えた瞬間、かぁっと顔が熱くなるのを感じる。