「でもー」





向かいのデスクに座っている一年目の酒井さんが、あたしたちの話に入ってきた。





「やっぱりカッコいいです、蓮見さん♡」





両頬に手を当てて、うっとりしたように蓮見の後ろ姿を見送る酒井さん。





「………いやあ、そりゃね、見た目がいいのは認めるけど。

中身がアレじゃあ、なんともならんでしょ………」





「でも、目の保養です♡」






酒井さんは満面の笑みであたしを振り返った。






「酒井さんだって、蓮見のせいで色々苦労してるじゃん。

昨日も雷落とされてなかった?」





「はいっ、入力ミスがあって、死ぬほど怒られました!!

でもいいんです、蓮見さんの顔、近くで見れたから♡」






………強いな、酒井さん。



オフィス中に響き渡るくらいの怒号を飛ばされていたのに。





恐るべし、ゆとり世代。