「だからさ……。

セクハラだって非難してあいつとの関係がぎくしゃくすることとか、実際に法的な措置をとるための手続きをすることとか、そういうのが面倒だったんだろ?


で、それよりも、嵐が過ぎ去るのを待って、なにもなかったって顔をしとくほうが、楽だと思ったんだろ?」






「………な……」







あまりの言い草に、あたしは反論しようと口を開いたけど。



結局、何も言えない。





だって―――正直、思い当たる節があったから。





まさに、蓮見の言うとおり………だったかもしれない。




あたしは確かに、時間が過ぎるのを、主任の手が止まるのを、ひたすら待っていた。