「ああいうことされて黙ってるのは、誰のためにもなんねえんだよ」





「え………」






見上げると、蓮見が眉根を寄せてあたしを強く見つめていた。







「お前は『ちょっとくらいなら我慢できる』って思って、耐えてたのかもしれないけどな。

そうやってお前が我慢したことで、ああいう下らない輩は『これくらいなら許されるんだ』って勘違いするんだよ。


そんで、他の女にも同じことするんだ。

その女も不愉快に思いながら我慢したら、もうちょっとエスカレートして、さらに他の女にもやるだろうな。


そうやって、どんどん被害が拡大していくんだ。

だから、お前はあの場ですぐに、『こういうことをされるのは不愉快だ、これ以上やるなら法的手段に出る』って言わなきゃいけねえんだよ」






「…………」