「なんだよ、事情って」






「いや……だからさぁ……。

あの場で、セクハラだなんだって騒いじゃったら、しらけちゃうでしょ?

せっかくみんな、仕事から解放されて楽しんでるのにさ。


だから、まぁ、ちょっと触られるくらいなら、我慢しよっかなって……」







あたしはもごもごと説明する。




すると蓮見が、気にくわない、とでも言いたげに顔をしかめた。







「ちょっと触られるくらいなら? 我慢?

どう考えても、良くないだろ」






「………分かってるよ、そんなの。


でもさ、働くオンナには、色々あんのっ。

あれくらいのことでいちいち大騒ぎしてたら、やってけないの!!」






頭を掻きながら言ったあたしを、蓮見が「馬鹿か」と一刀両断した。