「………は、蓮見くん……」






突然の蓮見の登場に、主任の手が止まった。



ただし、あたしの脇腹に触れたまま、硬直。




触れられているところから、皮膚が徐々に侵食されていくような、言いようもない不快感を覚える。




あたしは無意識のうちに歪んでくる顔を抑えるのに必死だった。






「………雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」






蓮見が薄く笑いながら呟いた言葉に、あたしと主任が顔を上げる。






「セクシュアルハラスメントとは、一般に、「相手方の意に反する性的言動」のことである。

労働者と事業主との間に職場でのセクシュアルハラスメントに関する紛争が生じた場合、均等法に基づく紛争解決の援助などを利用することができる。

また、被害を受けた労働者は、訴訟により、行為者や企業に対して損害賠償を請求することもできる」