この前、テレビで『草食男子』というのをやっていたけど、まさに僕のことだと思って、顔から火を噴きそうになった。






でも、社交的で派手で明るい他の男子学生みたいに、友達でもない女の子に気楽に声をかけるなんて、僕にはどうしてもできそうもない。






僕は、小さく溜め息をついて、大河原さんを視界の隅にとらえつつ、授業が始まるのを待った。







先生が教室の前のドアから現れると、大河原さんは顔を上げ、文庫本を閉じて、腰あたりにある右ポケットにしまった。




そして、右の腹あたりのポケットから折り畳んだルーズリーフ、左の腰ポケットから教科書を取り出し、机の上にぽんと載せる。





左の胸ポケットからは、筆記用具を取り出した。



黒と赤のボールペンと、黄色の蛍光マーカー。




その三本のペンが、なんと輪ゴムでぐるぐるに束ねられているのを見て、僕は噴き出しそうになってしまう。




だって、いかにも、大河原さんらしい。