どうも私は、小野山美紗の言葉を否定する気にはなれなかった。
「納得できないってなら、俺が小野山美紗と話をしてくる。まだ来てないみたいだけど、どこにいるんだ?」
こういったところはいかにも健司らしいな。
自分の考えがあって、さらにそれを証明するっていうか……。
考えが間違いじゃないという事を証明しないと気が済まないのかな。
「あの子なら、体調が悪くて保健室で休んでるよ。今ならいるから、行ってみたらどう?」
「そうか……なんか行きにくいけど、まあ行ってみるかな。話が長引いたらショートホームルームは出ないからさ、先生に上手い事言っといてくれ」
そう言い、健司は背中を向けて軽く右手を挙げ、階段の方に歩いて行った。
……久し振りに健司とこんなに話をしたな。
いつもは何を考えてるのか分からないくらい無口なのにさ。
カラダ探しなんて妙な事に巻き込まれて、少しは自分の考えを伝えるようになったのかな?
なんにせよ、それは良い事だよね。
話さなきゃ分からない事もあるしさ。