「俺に用なのか? 珍しいな、どうした」
相変わらず小さく、暗い声で私に尋ねる。
さて、どこまで話したら良いんだろう?
私達の中で、小野山美紗の口から名前が出なかったのはふたり。
私と健司。
話をするなら、あゆみや美雪よりも良いと思ったから。
「んとさ、良い情報と悪い情報があるんだけど、どっちから聞きたい?」
「もったいぶるなよ……じゃあ良い情報から」
「良い情報ね。昨日、カラダをふたつ見つけたんだけど、ひとつはどうしても動かせなかったんだよね。もしかしたら本人しか取る事ができないんじゃないかな? もうひとつは私のカラダだったから、取れたんだけどね」
話しながら、健司の腕を見ていたけど……昨日見たのよりも細い。
と、なると……あの腕は龍平のか。
「じゃあ……他の誰かがそれを取らないといけないって事か。皆でそこに行ってみた方が良いな」
「え? あ、龍平に行かせるよ。今、あいつのだって分かったからさ」
健司の腕を指差して、私が見た物とは違うという事を示して見せた。