そんな事を「はい、そうですか」って信じられる訳がないけれど、私達が妙な体験をしている事は間違いないし……。
でも、歪められた世界なんてそんな突拍子もない話なんてのは、さすがに信じる事ができない。
「……教室に行くわ。皆にも教えないと、私ひとりではどうすれば良いか分からないから」
私がそう言っても、小野山美紗は何も言わなかった。
言っても信じてもらえないと思っていたのか、他に何かを考えているのか、それは分からないけれど。
とにかく、小野山美紗の話には何か不気味な説得力を感じてしまった。
これが嘘だったら、きっと将来とんでもない大悪党になるんじゃないかな。
怪しい新興宗教の教祖とかね。
などと思いながら保健室を後にした私は、重い足取りで教室へと向かった。
教室に入ると、いつものように皆が一ヶ所に集まって話をしていた。
小野山美紗の話を聞かなければ、私もあの中に入っていたんだろうけど……今はとてもそんな気にはなれない。
「えーっと、あー……健司、ちょっと」
こちらの方を向いていた健司に手招きをして、歩き出したのを確認してから私は廊下に出た。