「見ぃつけた」
私の顔を見て、ニタリと笑みを浮かべた赤い人は、再びドアを閉めたのだ。
いったいどうしたのか……。
もしかして、見つけたけど見逃してくれるのかな?
一瞬死を覚悟したけど、もう少しカラダを探すチャンスが増えたかもしれない。
カラダをひとつ見つけたから、見逃してくれたとか?
だったらラッキー。
なんて、思った私がバカだった。
ロッカーの横を、バンバンと軽く叩く音が聞こえたと思った次の瞬間、私の身体に衝撃が走ったのだ。
お腹の辺りに走った冷たい感覚の後、そこから下の感覚がなくなっていた。
「え? な、何!? 立っていられな……」
ロッカーのドアが弾けるように開き、前のめりに倒れた私は床に手を付いて、ようやく状況を理解する事ができた。
手を付いた時、ずいぶん体が軽いと思ったけど……それは、私の腰から下がなかったから。
触ってみると良く分かる。
細くてくびれた腰は存在せず、ぶよぶよとした腸が切断されたお腹から出ていたのだ。