すでに半泣きになっている龍平を見ていると楽しい。
お、泣くか? 泣きますか?
良いよ良いよ、泣いちまいな。
ニヤニヤと笑いながら見ていた私の視線に気付いたのか、こちらに顔を向ける龍平。
「る、留美子……何見てんだよ! ちっくしょー!!」
あ、バレた。
もう少し見ていたかったけど、そんな私の視線を振り切るように龍平は走り出した。
走って走って……前方のゴミ捨て場に置かれていたゴミのひとつを蹴り飛ばしたのだ。
何を蹴飛ばしたのか、ここからは良く分からなかったけど、何か大きな物が宙を舞っていた。
いくら不良っぽくしてるからって、武司さんはこんな事はしなかった……かな?
何にしても、あゆみには良く思われていないだろう。
「あーあー、もう。何してんだか……龍平! 何蹴飛ばしたのよ! ちゃんと元の場所に戻しておきなさいよ!」
ゴミ捨て場に駆け寄った私達は、先を行く龍平が戻って来るのを待っていた。
「今の留美子、お母さんみたいだったね」
うっ! そんなにオバサンっぽかった!?
「や、やめてよ美雪! そんなに年取ってないっての!」