「あ……ごめん、言いすぎた」


慌ててそう言った美雪に、私は思ってもいない言葉を投げかけたのを覚えている。


その時の美雪の顔は少し悲しそうだったけど、その場にいたくなくて私は教室を飛び出した。


西棟の三階から二階へと下りて、北側の生産棟に向かって走っていた。


どうして私はあんな事を言ってしまったのか。


美雪みたいにすぐに謝る事ができたら、こんなに苦しむ事もなかったかもしれないのに。


ひたすら走って、一番北側の突き当たりにまで来て、なるべく遠くの工業棟に行こうと左にある渡り廊下に向かって歩き始めた。


「この癖、直さないとダメだよね……」


美雪とは違う、別の友達と話す時に良く言ってしまう言葉……。




『あんたなんか、死ねば良いのに』




美雪に言ったのはこれが初めてで、いったいどう感じただろう。


あの表情から察するに、かなり傷付けたに違いない。


私は、困った事があるとすぐに逃げ出す。


それが、私を工業棟まで走らせたのだろう。


でも、美雪だってあそこまで言う必要はないじゃない。