少しムッとして、しばらく考えた。


……考えてみたけど、私は私なりに真剣に探してるし、怒られる理由が分からない。


「真剣に探してないわけないでしょ。命懸けなんだからさ、それくらい分かってるって」


「私にはそうは見えないけどね。少なくとも留美子と龍平は、誰かがカラダを見つけてくれると思って、手を抜いてるようにしか見えない」


こっちを向きもせずに、美雪が失礼な事を言う。









何よそれ。


そんな風に思ってたと知っていれば、美雪なんかの所には絶対に来なかったのに。





「はいはい、真剣にやってる美雪はさぞかし偉いんだろうね。手を抜いてる私は、偽物のカラダしか見つけられないんだからさ、本物を見つけてよ。偽物だったとしても、私はひとつ見つけたけどね」







「何よ、その言い方! 皆死ぬかもしれないと思って探してるのにいつもの調子で! 赤い人を見たってのも、東棟にいる赤い人をどうして留美子が見たのよ! どうせ探しもせずにブラブラしてたんじゃないの!?」


美雪のその言葉で、私は怒りを通り越して頭の中が真っ白になった。


そして、私の口が動き、言うつもりのない言葉を紡ぐ。


わずかな時間、私達は立ったまま動かなかった。