金髪の生徒と一緒に、今私達が通って来た道に入った男の子。


ほんの少ししか見えなかったけど……その姿は、とても良く似ていたのだ。


傘もカバンもその場に残して、自分が何をしているかも分からずに、私はその男の子を追いかけた。


夢で見た、私に手を差し伸べてくれた男の子。


名前も知らないし、見た事もないはずなのに。


「ちょっと……待ってよ!!」


ただの夢なのに、どうして私はこんなに必死になってるんだろう。


今日じゃなくても、明日でも別に良いはずなのに。


だけど、ずっと待ちわびた人が現れたような気がして、追いかけずにはいられなかった。


しばらく走って、民家の軒下で雨宿りをしているふたりの姿が、前方に見えた。


強くなったり弱くなったりを繰り返す雨。


私に降り注ぐ雨が、少し弱くなった時だった。


「よし、また走るぞ!」


金髪とふたり、再び軒下を飛び出した男の子。


私より足が速いふたりは、どんどん差を広げていく。