となると、小野山美紗か赤い人しかいない。
こっちに来てるなら、どこかに隠れなきゃ。
徐々に近づくその声の主に見つからないようにと、身を低くして机と机の間に隠れる。
し~ろい ふ~くもあかくする~
息をしても気付かれそうな重い空気の中、その声は教室の近くまで迫っていた。
まっかにまっかにそめあげて~
ヤバい、どうしよう。
声がかなり近づいて来てるし、ペタペタって足音も聞こえるよ。
どうか、このまま通り過ぎてくれますように……。
赤い人が教室の前の廊下を歩いている。
すりガラス越しに、移動する人の頭が見えるけど……これってどうなの!?
直接じゃないけど、赤い人を見たから振り返ったら殺されるのかな?
怖くて振り返る事ができない中、赤い人は廊下の端まで進み、来た道を引き返したのだ。
お顔もお手てもまっかっか~
調子良く歌ってるよ……こっちはいつ見つかるかとヒヤヒヤしてるのにさ。
教室の半分くらいを通り過ぎただろうか。