……小学生の頃、私は友達とは違う世界を思い描いていた。
4歳の時に両親が離婚して、ママの実家に戻って、厳しいお婆ちゃんと一緒に過ごす事が多くなった私はそれが嫌で。
人には、それぞれが考える世界があって、今の世界ではないどこかには、両親が仲良く暮らしている世界があるんじゃないかって。
だから、夢で見るのも、そんな世界の中のひとつ。
どんなに不思議な夢でも、私の意識だけが別の世界の私の所に飛んで行って、少しだけその世界を体験しているんだと考えると、眠る事が大好きになった。
それを作文の時間に書いて発表したら、皆にバカにされたけど、何人かは真面目に話を聞いてくれた。
ああ、この人達も私と同じ事を考えているのかなと思うと、自信が持てた事を覚えている。
そんな私の小学時代は地味な物だった。
学校でも家でも、友達と遊ぶ事がなくて、ひとりでぼんやりと過ごしてばかり。
好きな人もいなかったけど、私なんかを好きになる人なんていないと思っていたから、誰も好きにならなかっただけかもしれない。
中学生になると、私は少し変わった。
それまで別々の小学校に通っていた人達が、中学校で一緒になるから。