「アアアアアアアアッ!!」
棺桶の美子に気を取られていた私に、「赤い人」が激しい叫び声を上げた。
慌ててその方を向いた私は……こちらに向かって駆け出した「赤い人」を目の当たりにする。
そして……。
ドンッ!という衝撃を受けて、弾かれた私の身体。
美子の棺桶に落ちて、見上げた私が見たものは、胸を赤い腕で貫かれた、武司の姿だった。
「た、武司! あんたまでどうして……」
「あ……いてぇ……どうしてって……龍平がうるせぇからよ……」
激痛に顔をひきつらせて、私に精一杯の作り笑いを浮かべた武司。
でも、「赤い人」はそれでも止まらなかった。
武司を放り投げて腕を抜いて、私に向かって手を伸ばしたのだ。
もう……止める手段もなければ、これから何をすれば良いかも分からない。
棺桶の中にある赤い服を手に取った瞬間、私の胸に感じる冷たい何か。
なすすべなく「赤い人」の腕に貫かれた私は、赤い服を「赤い人」に突き付けて、その場に仰向けに倒れた。
ああ……ダメだ。