俺達?
俺達って……武司ひとりしかいないんだけど、何を言っているんだろう。
……いや、それより今は、棺桶のふたを開けないと。
少しくらい土が入っても、恨まないでよね!
八代先生が言っていたように、明日香と遥が一度掘り返したのか、ふたが釘で固定されていない。
何とか開けたわずかな隙間に指を入れ、最後の力を振り絞って。
顔が真っ赤になるくらいに力を込めると……棺桶のふたが、上に乗っていた土を棺桶の中に落としながら開いたのだ。
月明かりに照らされた、腐食もしていないきれいな美子の遺体には、誰かが入れたのであろう赤い服がかけられていた。
赤い服……美子を知っていて、こんな事をするのは明日香くらいしかいない。
やっぱりふたりはここに来てたんだ。
「明日香達のおかげで……間に合ったよ」
まるで眠っているかのような美子の遺体の上に、そっと心臓を置いて。
それがスウッと身体の中に消える、奇妙な現象を目の当たりにして息を飲んだ。
何だか……美紗の「カラダ探し」でカラダに触れた時に似ている。
これで……私がやるべき事は終わった。