「これでも僕は高校時代、ラグビーをやっていてね。少しくらいなら……足止めしてみせる!」


覚悟を決めた長身の八代先生が、低い体勢で「赤い人」に突進する。


土を掘りながら、心の中で八代先生を応援していたら……。


「赤い人」の身体を持ち上げ、地面に叩き付けるような見事なタックルを決めた八代先生。


今のうちに、掘れるだけ掘らないと!


後半分なんだから、それまで耐えてよね!














と、思った矢先……。












「ぎゃっ!!」


潰されたかのような小さな悲鳴が聞こえて……八代先生がお墓の横に飛ばされたのだ。


ゴロゴロと地面を転がり、仰向けで動きを止めた先生の胸から、ゴポゴポと血が溢れ出していて、あっと言う間に致命傷を受けたんだと理解した。












「どうしてどうしてあかくなる~」














ゆらゆらと、陽炎のように揺れながら、こちらに向かって歩いてくる「赤い人」。


こ、来ないで……まだふたが開かないのに!


お願い、間に合って! こっちに来ないで!


何度も何度も心の中で叫んで、必死に土を掘って。