屋上にいた翔太が、戻って来たのかなと思って見ていたけど……。
予想に反して、一階の踊り場から、二階に上がってくる人影があったのだ。
皆ここにいるし……翔太は屋上にいるんでしょ?
だったらあれは……誰?
話をするのも忘れ、謎の人影をにらみつけた私は、二階に着いたその人物の姿に驚いた。
「何かおかしいと思ったのよね。一限毎にひとりいなくなって。面白そうな話をしてるじゃない。私も混ぜてもらうわ」
そう言って、肩にかかる長い髪を払った人物は……遥だった。
「遥……やっぱり気付いてたんだ」
涙を拭ってそう言った明日香に近付いた遥が、ピンッと額を指で弾く。
「丸分かりよ。私の知らない誰かが、今日目覚める事くらいね」
何がどうなって、遥がここに?
いや、今はそんな事はどうでも良い。
「八代先生! 早く教えてよ!!」
再度、私がそう尋ねると……。
「小野山美子のお墓は、この学校の東側、山の中にあるわ」
今来たばかりの遥が、八代先生に代わって教えてくれた。
「そうだね。何かの役に立つかと思って、私と遥で調べてたんだ。また、巻き込まれちゃったから」