廊下を走り、皆がいるはずの大職員室前へと急いだ。
美紗に言われた事を思い出しながら。
「美子の身体に……カラダを返してほしいの。悪霊の美子じゃなくて、本当の美子の身体に」
本当の美子の身体。
美紗は簡単に言ったけど、50年以上も前に死んでるんでしょ?
火葬されている美子に、どうやって返せば良いって言うのよ!
どうすれば良いか分からないままにたどり着いた大職員室前。
翔太の姿はそこにはなくて、屋上から戻って来た高広が、床に腰を下ろしてうつむいていた。
「留美子! 美雪が……留美子が言った通り、屋上で……」
今まで何とか耐えていたのだろう。
そこまで言って、明日香の目から、ボロボロと涙が溢れた。
でも、私には悲しんでる暇はない。
泣くのは、すべてが終わった後で良い。
「言わないで! 分かってるから。八代先生! 美子のお墓はどこ!? それくらい調べてるんでしょ!」
もしも、小野山夫妻が美子のお墓を、よその町で建てていたらアウトだけど……。
「美子のお墓? どうしてそんな事を……」