武司の意識の世界で、私が何をしていたのかという記憶は薄れているけど、大事な人達は忘れてたまるか。


悲しくて泣き出しそうだけど、今はまだ泣く時じゃない。


その想いが、こうして私を動かしているのだ。


「あゆみ……。それで? 次は何だ。これで終わりなわけはねぇんだろ?」


武司にそう言われ、私は心臓を手に立ち上がった。


「これを、美子に返せって美紗は言ったけど……」


最後の日、美紗の部屋で頬をなでられながら聞いた話。


私にしかできない、心臓を美子に返すという大仕事。


そして……あの地下室に行って壷を破壊すれば、すべてが終わる。


だけど、それには2つ、何とかしないといけない大きな壁が残っていた。


「とりあえず皆の所に戻るよ! 八代先生なら……知ってるかもしれない!」


そう言って武司の背中を押して、校舎の中に戻った。


何が何だか分からずに、私に言われるがままの武司。


「おい留美子! 本当に『呪い』なんて解けるんだろうな!? もしも無理なら……テメェら皆殺しだぞ!」


「うるっさい! 『赤い人』に皆殺しにされたくなかったら、黙って言う事聞きなよ!!」