「この下……なんだけど! あーもう!! 高広も連れて来れば良かった!」


「また戻るつもりかよ? やるしかねぇだろ。良いか? 蹴ってこれを転がすぞ」


そう言って、私の隣で岩に足をかけた武司。


何となくだけど……その姿が龍平とダブって、うなずくと同時に私も岩に足をかけた。


「行くぞ、せーのっ!!」


武司の合図と共に、私は足に力を込めた。


私も武司も全力で押したからか、グラリと動いた縦長の岩は、ゆっくりと地面の上に転がった。


この下に、美子の心臓があるんだ。


すぐさまかがんで地面を掘った私は、その物体を手にした。


「あった……美紗が言った通りだ」


この世界に戻る直前まで持っていた、美子の心臓。


それと同じ物が、また私の手の中にある。


「気持ちわりぃな。でもよ、これでテメェが行ってる事は嘘じゃなかったって証明されたわけだ。相島は……本当に死んだのかよ」


少しだけ……美雪の事を話した時に、かすかにだけど武司が寂しそうな表情に変わった。


「死んだよ……美雪もあゆみも美紗も。私が大好きな友達は皆死んじゃった。だから、その想いを無駄にしちゃいけないんだよ」