「だから! 嘘だと思うなら行って見てくれば良いでしょ!! 私は生産棟に行くからね! 武司! 行こう!」


翔太が悲しむ姿は見たくない。


美雪の事が大好きだったのに、もう死んでるなんて信じられないだろうから。


慌てて駆け出した翔太と、その後を追った高広の背中を見送って。


私は生産棟に向かって走った。


「待てよ留美子! ひとりでいると、あのガキが現れるだろうが!」


私の後ろを走って、武司が怒っているかのような声を上げる。


そうだった……放課後の校舎にいると、「赤い人」が現れるんだ。


「武司! あゆみが言ってたよ! お兄ちゃんを恨まないでってさ!」


「ふんっ! なんの事だそりゃあ!! テメェなんぞがあゆみを語るんじゃねぇよ!」


そう言いつつも、少しうれしそう。


生産棟の一番奥の階段を下りて、夜の校舎で中庭に出たドアへと急ぐ。


暗い廊下を走り、その前にやって来た私は、すぐにドアを開けて、中庭に飛び出した。


「こんな所にあのガキの心臓があるのかよ。で? どこにあるんだ?」


武司に尋ねられて、例の岩へと駆け寄った私は、何とかそれを動かそうとしたけど……全然動かない。