でも……。


「それはどこにある? 俺も一緒に行ってやるぜ」


その中でただひとり、声を上げたのは……武司だった。


いつも私達に反発していた武司が……何も聞かずに私に賛成してくれている。


「おいおい、お前も頭を打ったのか? いきなり何だよ、美子の心臓って」


呆れたように高広が言うけれど、武司は意見を曲げない。


「高広ぉ、テメェに何が分かるんだ!? あゆみが言ったんだよ、私達を信じてくれってな!! だから俺は、留美子を信じてやるぜ!」












覚えている。


私だけなら、本当に夢かと思うほど薄れている記憶を、武司も覚えているんだ。


そう思うと、私も勇気が湧いてきた。


「私は武司と生産棟の中庭に行く。信じられないなら、屋上に行ってみなよ。美雪が……死んでるから」


言いたくなかった言葉。


美雪はこうなる事が分かっていて、私にすべてを託したんだ。


「おいおい……知りもしないのにめったな事は言うなよ……美雪が死ぬはず……」