ヒックヒックとしゃくり上げて、胸に顔を寄せたまま涙を流し続けた。
「泣くなよ。留美子はどんな時でも明るくて、可愛いんだからよ」
「う、うるさい! 何であんたは……誰にでもそんな事言うのよ! 何で最後なのに……そんな事……」
もっと早くにそう言って、抱きしめてくれたらと、何度も心の中で叫んで。
「……最後じゃねぇよ。武司さんとも約束したし、留美子との約束もあるから。何が何でも留美子に会うから」
私の身体を離して、そう言った龍平の顔は暗くて分からない。
だけど……近付いて来たと分かる、その顔。
震えた手で肩をつかむ龍平と……私は、唇を重ねた。
どれくらいの時間、こうしていたのかは分からない。
脳ミソが溶けてしまいそうになるような快感と、胸を締め付けられるような息苦しさに襲われて、この時が永遠であるかのような錯覚に陥っていた。
私のファーストキス。
それは涙の味がして、すべてが終わる直前に起こった悲しいキスだった。
「キャハハハハハハッ!!」
そんな私達の邪魔をしたのは、あの笑い声。
そこでようやく我に返り、慌てて龍平から離れる。