「早く!」
何とか絞り出したであろう声を私に向けて、その場にひざから崩れ落ちた。
「健司……ごめん!」
校門の前で、大きく弧を描くようにして方向を変えた私は、美紗の家に向かって走り出した。
今、ここで赤い人のカラダを持ってる私が死んだら、すべてが無駄になる。
私達を守ってくれていたカラダ探しはなくなってしまって、もうこの世界で朝を迎える事はない。
それを覚悟で私を行かせてくれた健司。
この時のために生きてきた美紗。
その想いを、私なんかが無駄にしてはいけない。
いろんな事を考えると涙が出そうになるのをグッとこらえて、先を急いだ。
学校からだと、美紗の家まで走れば10分程度。
それでも全力で走り続ければ……という条件が付くんだけど。
「アハハハハッ!フフフッ!!」
もう来た!
健司が足止めしてくれたのに、何事もなかったかのように私を追いかけて来た!
「留美子! もっと速く!」
「無茶言わないでよ!! これでも全力なんだって!!」
一番後ろを走る私に、速度を落として龍平が近付いて来る。
そして、私に手を伸ばしたのだ。