私達の目の前で、さらに細かくヒビ割れた空間が、まるでガラスが割れて飛び散るように砕け散って。
光の幕が消え、校門の向こうに道がある世界が姿を現して、カラダ探しの空間が消え去ったのだという事が分かった。
「消えた……い、行こう! あの地下室に!」
そう言って、美雪が校門を出る。
龍平、あゆみと、続いて走り出したけど……私は、美紗がどこで赤い人に殺されたのかが気になって、校舎に視線を向けた。
「私……美紗の想いを無駄にはしないから」
小さくそう呟いて、心臓のカケラをポケットに押し込んだ時だった。
ガシャン!と、どこかで窓ガラスが割れるような音が聞こえて、あの笑い声が聞こえたのは。
「キャハハハハハハッ!!」
赤い人が、カラダ探しの空間が崩れた事に気付いたのだろう。
間違いなくこちらに向かっているその笑い声に恐怖して、私はゆっくりと後退した。
赤い人を見る前に……早く逃げなきゃ。
そう思って、向きを変えようとした時だった。
視界の一番端に……うごめく人影を捉えてしまったのは。
まさかと思い、その人影を見てしまった私は後悔した。
西棟と生産棟の間。
生徒玄関の前を通り、赤い人がこちらに向かって走ってきていたのだ。