生産棟の一番奥に到着し、言われた通りに靴を脱いで美紗の方を向くと、しばらくして皆がこっちにやって来た。
「もう良いわ。移動しながら説明するわね。私と相島さんは、マネキンがどこを見ているか、場所を特定していたの」
うん、それは分かるんだけど、私を立たせたのとか、さっぱり意味がわからないんだけど。
「それと、杉本君の事だけど、きっと目覚めたのよ。カラダを全部そろえた事で、眠っていた山岡泰蔵がね。なんて、言っても分からないわね」
説明どころか、ますます混乱してくる。
階段を下りて、一階に向かっている私は、説明にもなっていない説明を聞いて首を傾げた。
一階に到着して、美紗が向かったのは北側の廊下。
そこにある中庭へのドアの前に立ち、錠を回して、中庭へと出たのだ。
私達が外に出ようとしても、ビクともしなかったドアが、こんなに簡単に開くなんて。
赤い人を見て振り返っても大丈夫だし、ドアも開けられる。
美紗がこの空間を作ったって言うだけあって、特別なんだろうな。
「廊下の長さが……マネキンの見ていた位置が……だから、右に約10度で……」
またブツブツ何かを言いながら、中庭を歩く美紗。