それを直接見たわけじゃないから、私には何も言う事ができない。
おろおろと、龍平と美紗を交互に見ていると……突然美紗がこちらを向き、歩いて来たのだ。
「柊さん、あなた身長は?」
「え?160センチだけど……って、今そんなのが関係あるの!?」
こんな時に身長なんてきいて、何になるっての?
「おおありよ。柊さん、東側の廊下で良いわ。一番端まで行って、靴を脱いで立ってくれない?」
「靴をって……今はそんな事してる場合じゃないでしょ!? カラダは!? 健司は!? どうなってるか教えなさいよ!」
「今これをしないといけないのよ!! 杉本君が食い止めてくれている間に、あなたもできる事をしなさい!」
今までに見た事のない、美紗の剣幕におされて……私は何も言えずに東側の廊下の、生産棟の奥へと向かって走った。
もう、いったい何なのよ!
私に分かるように説明してたら、時間がかかるってのは分かるけど、それでも少しくらい説明してくれたってさ。