「だから探してるじゃない。赤い人が見ていたマネキン。そのマネキンが、どこを向いても見ている場所……美子が相島さんに教えたのは、やっぱりカラダの場所だけじゃなかったの」
つまり……このマネキンが見てる場所に、赤い人のカラダがあるって事?
「それでふたりとも妙な事してるんだ? 私は数学苦手だから、あんた達に任せるよ」
夜の校舎でも計算をしなきゃならないなんてね。
ふたりがブツブツと独り言を呟いている姿を見ていると……。
「アアアアアアアアッ!!」
校舎全体を震わすような、遠くから聞こえる叫び声に、私は思わず身をすくませた。
この声は……赤い人!?
ホールにいる3人が、赤い人に何かしたの?
怒っているような声を、何もしていないのに発するはずがない。
そして聞こえるバタバタという足音。
私の背後に迫って来る音が、赤い人のものではないという事は分かるけど……。
避難口通路誘導灯の明かりに照らされ、私達の前に現れたのは龍平とあゆみ。
良かった……昨日の事が一瞬脳裏をよぎって、龍平が赤い人の足止めでもしてると思ったよ。