「西棟一階か……3人は大丈夫かな?」


美雪も、考える事は私と同じようで。


不安そうに、校内放送が流れたスピーカーに目を向けた。


「迷っている暇はないわね。柊さん、中に入って、このマネキンを動かしてくれないかしら?」


「えっ!? わ、私が!?」


突然何を言い出すかと思ったら、そんな事を私にさせようだなんて。


こんな気持ち悪いマネキンを動かすなんて嫌だけど、今日で最後なんだから頑張るしかないか。


モタモタしてたら、ここにまで赤い人が来るかもしれないから。


仕方なく家政学室の中に入り、ショーウインドーの入り口を探す。


マネキンの服を交換するために中に入らないといけないから、どこかにあるはずだよね。


壁の出っ張りを見ていると、キャビネットが置かれている側に、小さなドアがあったのだ。


ここからショーウインドーの中に入れるんだね。


ドアノブを回し、その中に入ってみると……何か臭い!!


「うへぇ……早く動かそう」


マネキンを抱えて、足元のプレートごと持ち上げる。


この下に何かがあるのかなと、壁際までマネキンを移動させてみるけど……床に何かがあるようには見えなかった。