私が見ても、何が分かるというわけでもないし。


携帯電話の明かりで照らされているマネキンは、いつものようにジッとただ一点を見つめているだけで、何か秘密が隠されているようには見えない。


「赤い人は何を伝えようとしていたの? もしかして、このマネキンの中にカラダの一部が?」


美雪がそう呟きながらガラスに手を触れるけど、美紗は小さく首を横に振るだけ。


「それはないわね。このマネキンが置かれたのは、美子が殺された後だから」


うーん、だとすればマネキンじゃなくて、このショーウインドー自体に何か秘密があるとか?


私も私なりに考えて見るけど……美紗ならその程度の事は考えているだろうし。


「じゃあ、どうするの? ただ見てるだけなら、何もしないのと同じじゃない?」


いつ、どこに赤い人が現れるかも分からないし、廊下の真ん中に突っ立っていたら、あっという間に殺されてしまう。













『赤い人が、西棟一階に現れました。皆さん気を付けて下さい』















今日最初の校内放送が流れた。


西棟一階に赤い人が現れたとなると……近くにいる3人の事が気になる。