驚いた様子もなく、ゆっくりと目を開けて私を見る。
「騒がしいわね。いったい何が……あら、皆集まってどうしたのかしら?」
「だから、晩ご飯だって! 良いから食べるよ!」
身体を起こした美紗が、床に並べられた料理を見て、大きく目を見開いた。
私達がいるより、パーティーかと思うほどの料理に驚いた様子で。
慌ててベッドから降りると、ジッと料理を見つめた。
薄暗い部屋の中で、皆の携帯電話の明かりで照らし出された料理を、見つめたままで。
「皆、ごめんなさいね。こんな照明もない汚い部屋で食事だなんて」
「確かにほこりが積もってるけどね。でも、どうせ今日で終わりだから、少しくらい口に入っても……大丈夫でしょ」
大丈夫だという根拠はまったくないけど、あゆみが言う通り、ここにいる誰もが気にしていない。
「そういうわけにはいかないわね。……まだ私を守ってくれてる? だったらお願い。この一時だけで良いから……最後だけ、私達を助けて」