「もうね、ふたりともすごいの何のって! バッキバキ殴り合って、どっちがいつ倒れてもおかしくなかったんだから!」
「もう分かったよ。とりあえずこれで、龍平の心残りもなくなったわけだね」
半ば暴走気味の私を、美雪がなだめるように話を終わらせた。
まだまだ話し足りないけど仕方ないか。
それにしても、心残りか……。
私は元の世界で生き残るけど……心残りはないのかな。
あゆみを助け出せたし、美雪とも仲直りして、健司も私達に協力してくれる事になったし。
後は……龍平かな。
後7時間もすれば、最後のカラダ探しが始まってしまう。
そうなれば、もう終わりは目前で、皆ともお別れになる。
武司さんと戦っていた龍平は、とても楽しそうで、私の知らない表情だった。
何が何でも勝ってほしかったし、ずっと頑張れと祈っていた。
好きにならないって決めてたけど……やっぱり好きな気持ちは止められない。
同級生の、バカで女好きのおとぼけキャラ。
そんなどうでも良いやつの、男らしくてカッコ良い姿を見てしまったら、もう以前のようには思えない。
「ふぅ……健司、風呂サンキューな」
リビングの入り口から聞こえた龍平の声に、ビクッと反応して目をやると……。