まあ、龍平が全部やってくれて、私は何もしてないんだけどね。
だけど、あゆみは私に抱きついて、安心したのか声を上げて泣き出してしまったのだ。
そんなあゆみの頭をなでてあげる私の横で、胸に飛び込んで来るだろうと予想していた龍平は、肩透かしを食らった様子で。
泣きじゃくるあゆみの横で、不思議そうに自分を指差してアピールしていた。
それでも、あゆみが龍平に抱きつく事はなくて。
泣き止んだ後、私達は家を出た。
あゆみを救出して、美雪にメールを送って。
血まみれで学校に行ったら、クラスメイトや先生が驚くという事で、健司の家に行く事になった。
水が使えるし、家には誰もいないらしいから。
私の家でも良かったんだけど……この時間だとママが寝てるし、学校を抜け出したのがバレると怒られそうだし。
あゆみとふたりで龍平を支えて、やっとの思いでたどり着いた健司の家。
すでに健司と美雪がスタンバイしていて、すぐに龍平は風呂場へ。
リビングに通された私は、武司さんとの戦いを、興奮気味に皆に話していた。