「あざす。精一杯生きます」


龍平はそう言うとゆっくり立ち上がり、フラフラと公園の入り口に向かって歩き出した。


「おい龍平……次は俺が勝つからな」


武司さんが呟いたその言葉は、龍平に聞こえたのか。


スッと上げたピースサインが、武司さんへの答えだった。













「いてっ! いてぇって!! 腕に触るなよ! ああっ! 腕もダメだ!」


歩くのがやっとの龍平を支えているのに、あっちが痛いこっちが痛いと騒がしい。


「痛いのが嫌なら、喧嘩なんてしないでよ……心配したんだから」


最後は聞こえるか聞こえないかというような小さな声で。


「喧嘩じゃねぇよ。真剣勝負だ」


真剣勝負でも何でも良いけど、こんなにボロボロになって、人の手を借りないといけないんだからさ。


あゆみの家に到着して玄関を開け、「こんにちはー」と呼びかけてみるけど、返事はない。


監禁されてるあゆみしかいないんだろうな。


靴を脱ぎ、勝手に家に上がり二階に向かう。


龍平は階段を上がるのも一苦労で、脚が上がらなくて何度も踏み外しそうになる。