フンッと鼻で笑うと、スッキリしたような表情で溜め息を吐いた。


「高広かテメェは。でもまあ、悪い気分じゃねぇな。龍平、ちょっとタバコをポケットから出してくれや」


そういえば……3人で何かの勝負をしてた時、高広さんが勝つといつもやってたような。


それを思い出した。


武司さんに言われて、ポケットからタバコを取り出して、口に持って行く龍平。


「武司さん……まだ未成年っしょ。それに、こんなの吸ってるから体力なくなるんじゃないすか」


その先端に火をつけ、ライターをポケットに戻して龍平が呟く。


「うっせーな。いろいろあんだよ……社会人は。それより、鍵は俺の部屋のテーブルの上だ。行けよ」


昨日まで私達を殺していたのに、龍平に負けてずいぶんあっさりと引き下がるもんだ。


こんな事なら不意打ちでも闇討ちでもして、勝ってしまえば良かったのにさ。


「あゆみから聞いたぜ。テメェらは今日が終わったら死ぬんだろ? だったら、俺が手を出すまでもねぇ」


……武司さんは分かってるのかな。


その中に、大切なあゆみも含まれているって事に。


それに、そんな冗談みたいな話を、武司さんは信じる事ができたのかな。