服をつかんで殴り、かと思ったら武司さんの頭突きを食らい、お互いに血飛沫を辺りに飛び散らせて。
これ以上、私は公園に近付けなかった。
「ペッ! 龍平……テメェが死んでなくて正直うれしいぜ……こんなスリル、なかなか味わえるもんじゃねぇ!!」
ハァハァと肩で息をして、血を吐き出した武司さんが、凶悪な笑みを浮かべた。
横顔だけど分かる。
龍平をにらみつけ、口角をクッと上げた武司さんは鬼のよう。
そんな武司さんに臆する事なく、笑いながらにらみ返す龍平。
「俺もうれしいぜ。本気のあんたに勝てるんだからよ!!」
「勝てるかよ! 殺してやるぜ!!」
ふたりとも、笑みを浮かべたまま、再び殴り合いを始める。
その姿は、とても生き生きとしていて、私が入り込む余地なんてまったくない。
龍平の応援をしたかったけど……それすらもふたりの邪魔になりそうでできない。
私はただ、公園の入り口から見守るだけ。
そして何分経過しただろう。
決着の時は突然訪れた。