今だってそうだけど、だからといってすべてを美雪に任せているわけじゃない。
心のどこかで、私がそうしたいと思っていたから……こうして走っているんだ。
昨日みたいに、武司さんに殺されるかもしれない。
それでも、龍平の所に行かずにはいられなかった。
走り続けて数分。
昨日の公園の近くにまでやって来た私の耳に、武司さんの怒鳴り声が聞こえた。
「何なんだテメェは!! いつになったら死にやがる!!」
この声からすると……またボコボコにされてるのかな。
公園に近付き、ふたりの姿を私の目が捉えた時……その光景に私は驚いた。
「今日しかねぇんだよ!! あんたに勝つのは!!」
昨日みたいに防戦一方じゃない。
ふたりとも鼻から口から血を流しながら、ノーガードで殴り合っていたのだ。
いつからこんな事をしているのか……どうして龍平が倒れていないのか。
その姿が、昨日の夜の校舎、赤い人に向かって行った姿に似ていて。
死ぬ事を恐れていない、捨て身の迫力が伝わってくる。