私の心を見透かしたように、思っている事をスパッと言い当てる。


やめてよ……辛いのは分かってるけど、私にはどうする事もできないじゃない。


「留美子らしくもない。もっとわがままになりなよ。嫌いだって言ったけど、一緒にいるのが悪いわけ?って、それくらい言いなよ」


美雪にそう言われて、私は空を見上げた。


そんな自分勝手なのが、私らしいって事なの?


考えてみれば、昨日の夜に龍平の手を握って抱きしめたのに、今日は勘違いだって言って……その理由がいなくなるから好きにならない。


確かにわがままだな。


だったら……もう一回くらいわがままを言ったって同じだよね。


「ほら、考えてないで行く! 考え込むなんて留美子らしくないよ!」


ドンッと美雪に背中を押された。


肉体的に押されたけど、精神的にも。


「うん……行ってくる。また後でね」


単純な私がいくら考えても、ろくな答えが出るはずがない。


そう結論が出た時、私はカバンを地面に落として走り出していた。


美雪といるのは楽だ。


深く考えない私を、良い方向に導いてくれるから。