知りもしない、元の世界でやらなければならない事を伝えられたのは、正直不安だった。
「ねぇ留美子。気になるんでしょ? 行ってきなよ」
門を抜けた所で、突然言われたそのセリフに、私は顔を上げた。
何の事だか分からなかったけど、すぐに龍平の顔が思い浮かんだ。
「な、何言ってんの!? あんなバカ、どうなっても知らないっての!」
気にならないはずがないけど、怒ってるみたいだった龍平の後を追うのは……何だか気まずい。
「本当に良いの? 今日で終わりなんだよ? 好きでも嫌いでも、もういなくなるんだよ?」
……健司もいるのに、何て事言うのよ。
屋上で話したでしょ。
私がどれだけ気になっても、いなくなる人なんだから、好きにならないって。
辛いけど、苦しいけど、嫌われた方が別れが楽だと思うから。
「小野山さんも、あゆみも、留美子は好きじゃないの? いなくなるから好きじゃない?」
「それは……違うでしょ。あゆみと美紗は友達だから……」
「友達だから、好きでも別れられる? ……そんなわけないじゃない。どんな関係だって、別れはきっと辛いよ」