「カラダを手に入れたら、私は赤い人に殺される。そうなったらカラダ探しの空間から解放されるはずだから、その後ね。もう明日は来ない。その時にやるしかないのよ」
明日は来ない……か。
まだ実感が湧かないけど、美紗の様子だと嘘じゃないんだろうな。
携帯電話の明かりを、部屋の奥にあるテーブルに向けて、私は壷のような物を見た。
「そこに赤い人のカラダを入れなさい。悪霊達への捧げ物にしてしまうのよ」
私が照らした壷を指差し、穏やかではない事を口走る美紗。
「いや、やれって言うならやるけどさ……これで赤い人の呪いが解けるのなら」
「きっと……呪いは解けないわね。この世界には、そのために必要な物が足りてないもの。元の世界に戻って、それで終わりよ」
は? だったら何で、こんなに必死になってんのよ。
美紗は呪いを解くために頑張ってたんじゃないの?
「だから……元の世界に戻ったら、あなた達が呪いを解いてほしいの。赤い人のカラダを見つけて、それを赤い人の身体に戻してほしい」
美紗は、自分の力では呪いが解けない事を知っていたんだ。
それをずっと黙っていて、本当に呪いを解くのは私達。
最初からそのつもりで。