人形の身体に、明日香さんの頭があるなんて。
赤い人がそれを教えたっていうなら、美紗が探してるカラダとは何の関係もないね。
「白い服……マネキン……」
でも、美紗は美雪の言葉を聞いて、何かを考えているようで。
今の話のどこに、引っかかるような場所があったのかが私にはまったく分からなかった。
考える事は美紗に任せて、私はまだ半分残っているお弁当を龍平に差し出しつつ、おかずを食べた。
皆、お弁当を食べ終わって、美紗も元気を取り戻したところで龍平が立ち上がり、軽くストレッチを始めた。
「さて……と、美紗ちゃんも無事だったし、俺はちょっと散歩してくるわ」
お弁当箱をカバンに押し込んで、それを肩にかけた龍平。
「ちょっと、あんたどこに行くつもり!?」
「あ? 散歩だっつってんだろ。どこに行こうとお前には関係ねぇだろ」
私をにらんで、冷たくそう言い放つと、崩れた門を通って草むらの中に消えていった。
絶対に武司さんの所に行くつもりだ。
昨日、あんなにボコボコにされたのに、今日勝てるわけがないよ。
「夜の校舎でどうなっているか分からないけど、マネキンを見てみるしかないわね。美子がカラダの場所だけを教えるはずがないもの」