美雪がそこまで言って、美紗は首を横に振った。


「それは関係ない話ね。その直後、美紀はこの世界に逃げ込んだの」








……ダメじゃん。


赤い人が何かを伝えようとしている記憶を美雪が見たのに、それが関係ないなら。


はぁ……総出で穴掘り決定か。


と、諦めかけた時だった。


「あとひとつは……」


さらに言ったその言葉に、私は思わず美雪を二度見した。


まだあるの!?


元の世界で美雪は何をしてたのよ!?


「これは良くわからなくて……意味がないと思うんだけど」


この際どんな話でも良いよ。


何もつかめなかったら、穴掘りなんだからさ。


「白い服を着た赤い人に連れられて、家政学室の前にいたんだ。ほら、マネキンがあるでしょ?」


「あー、あれね。夜に見ると不気味だよね。見られてるような気がするし」


「柊さん、黙ってて。それで?その続きはどうなったの?」


相づちを打ったら美紗に怒られた。


さっきは泣いていたのにさ。


「え? あ、うん。赤い人がそのマネキンを見てたんだけど、首から上が明日香さんの頭でね。そこにあるって教えてくれたって記憶なんだけど」


……想像したら気持ち悪い。