ひとつひとつ、言葉を紡ぐ口の動きがきれいで。


私も、その声を聞き逃すまいと必死に理解する。


誰にもできない、私だけのこれからの行動が語られて。


驚いたというのもあるけど、信じられないという思いが強い。


まだ知らない先の事を言われても、それをどう受け止めれば良いんだろう。


伝え終わった美紗は、安心したのか目を閉じて……そして一粒、涙を流した。












その涙の意味は私には分からない。


美紗は自分の気持ちを話すような子じゃないから、余計にそう思うのかもしれないけど。


「大丈夫。私、頑張るから。美紗の想いを無駄にはしないからさ。泣くのは止めなよ」


良く考えてみれば、怖くないはずがないよね。


自分が死んでしまった後、私なんかにその後の事を任せなきゃならないんだから。









「……どうしよう。怖いよ」











左腕で目を隠し、ボソッと呟いた美紗の言葉に、私は耳を疑った。


美紗が……いつもの話し方じゃない。









「死にたくないよ……どうして私が死ななきゃならないの?」











声が震えているし、腕で隠していても、流れる涙が髪の毛に吸い込まれている。


これが……美紗の本心なんだ。


そりゃそうだよね。