「それは……やめておくわ。今日で死ぬ私が、あなたの名前を呼ぶのは申し訳ないから」


「何をわけの分かんない事言ってんのよ。今日死ぬとか死なないとか、そんなの関係ないでしょ。あんたは友達なんだから、名前で呼べば良いんだって」


なんて言っても、美紗が私の名前を呼ぶ事はなかった。


美雪達が出て行って30分。


そろそろ戻って来ても良い頃だけど、まだかな?


お腹が空いたし、何か美紗がそわそわしてるのも気になる。


「何、美紗もお腹が空いたの? それとも、何か言いたい事でもあるの?」


いつも冷静な美紗に、ちょっとした意地悪のつもりで尋ねてみた。


腕と脚がつながり始めてから、美紗のお腹もグーグー鳴ってるし、それは間違いないだろうから。


「……柊さん、あなたにお願いがあるの。聞いてくれるかしら?」


お? 何なの何なの?


美紗が私にお願いなんてさ。


「何よ、言ってみ? 私にできる事なら何でもしてあげるよ?」


特に何も考えずに、軽い気持ちで返事をした私に、安心したような笑みを浮かべて、ゆっくりと口を開いた美紗。