「考えたら頭痛くなってきたよ……」


「こればかりは考えても仕方ないわね」


美紗はいつもと変わらず冷静だけど、怖くないのかな?


毎日毎日赤い人に殺されて、今日のカラダ探しが終わったら……美紗は死んじゃうんじゃないの?


最初から死ぬ事が分かっているから、恐怖はないの?


横になっている美紗を見ていると……フフッと笑って、つながったばかりの右手で、私の頬をなでたのだ。


人差し指と中指で、目の下からアゴまでをスーッとなでる美紗。


「柊さんは不思議な人ね。あなた達とは仲良くするつもりなんてなかったのに……いつの間にか柊さんがそばにいて、皆を連れて来るようになって」


「美紗には言われなくないよね。あんたが一番不思議だっての」


そう返している間にも、美紗は何度も私の頬をなでて。


いつもはこんな事をしないのに、どうしてこんなにしつこく……。


「クラスでも、柊さんと池崎君だけね。私を名前で呼ぶのは」


「ちょ……美紗、何回なでれば気が済むのよ。そりゃあまあ、ずっと一緒にいるしね。あんたもいい加減、私の事を柊さんじゃなくて、留美子って呼べば?」


うっとうしいと思いながらも、その手を振り払わずに、美紗を指差してそう言うと、目を閉じて笑顔を見せる。