龍平と仲が良いから、ちょっとした変化にも気付くのかな。
「まあ、何でも良いんだけどな。あいつの事だから、留美子に何か言われてへこんでるんだろ」
だから……何なのその無駄に鋭い勘は!!
私が話さなくても、ほとんど全部言い当ててるじゃないの!
それでも、健司の言葉に愛想笑いをして、私と美雪は真相を言わずに美紗の家に向かった。
気まずいまま歩いて、龍平と一言も交わさずに美紗の家に到着した私達。
鬱蒼と生い茂った草の間を通り、家の中に入った私達は、先日と変わらない朽ちた内装に息を飲んだ。
「何……だ、これ。こんな所に小野山は住んでるのか……」
廃屋があるとは知っているようだけれど、さすがに驚いた様子で、とても人が住めるような状態ではない家を、眉間にしわを寄せて眺めていた。
「二階のね、上がってすぐの部屋に美紗はいるんだけど……」
私が説明しながら階段に視線を向けると、すでに龍平は階段を上っていて、相変わらず真顔で美紗の部屋に向かっている。
私が謝るまで、龍平は許してくれないのかな。
ずっと無視されるのは辛いし、何か話してほしいのに。
「ふたりとも、行くよ?」